お口の潤い足りていますか?
「口の中がすぐ乾燥する…」
「口が乾いて食べ物が飲みにくい…」
こんな症状が出たらドライマウスの可能性があります。
ドライマウスは若い方は多くありませんが、50代を過ぎると増えていきます。
原因は「生活習慣」「加齢」「全身疾患」が影響しますが、そのまま放置しているとむし歯や歯周病のリスクが高まることもございます。
自宅で簡単に取り入れる治療法もありますので、お口の渇きが気になったらドライマウスの治療や予防を取り入れましょう。
目次
こんなお悩みありませんか?
- 口の中が乾燥しやすい
- 薬を飲むと口が乾く
- 舌が痛いことがある
- 緊張するとすごく口が乾く
- 鼻で呼吸しにくく口が乾燥しやすい
- 口が乾燥して食べ物が飲み込みにくい
ドライマウスについて
増えている現代病のドライマウス
ドライマウスとは口腔乾燥症とも呼ばれ、さまざまな原因で唾液が減少して口の中が乾燥してしまう状態をいいます。
近年増加傾向にあり、50代以上の女性に多くみられる疾患です。
一般的に唾液は1日1.5リットルほど分泌されて、口の中を潤しています。
しかし、ドライマウスになると慢性的に唾液の分泌が低下してさまざまな症状が起こります。
唾液は味覚を正しく感じて、食べ物を噛んだり飲み込んだりすることを促す役割を果たしますが、唾液が充分でないと毎日の食事に不便を感じるようになっていきます。
ドライマウスの代表的な症状として、「話がしにくい」「食事しにくい」「口の中が傷つきやすい」「口臭」などがあり、日常生活にストレスを感じるようになります。
●唾液の働きとは?
当たり前に口の中にある唾液ですが、さまざまな役割があり、お口の健康を守っています。
・細菌の繁殖を抑える
・お口を潤して、乾燥を防ぐ
・正常に味覚を感じる
・お口の組織を守る
・口内を中性に保ち、PHバランスを整える
・消化を助ける
・話すことや飲み込むことを助ける
ドライマウスの原因
生活習慣
「過剰なストレス」「喫煙」「過剰なカフェイン摂取」「口呼吸」はお口の乾燥につながります。
ストレスは自立神経の働きによって、唾液がネバネバして水分が少なくなり分泌が抑制されてしまいます。
喫煙もニコチンの影響によって唾液が減少しますし、過剰なカフェインは利尿作用が働いて唾液の減少が起きてしまいます。
また、口呼吸もお口で呼吸をするため、お口の唾液が減って口臭がしやすくなります。
加齢
年齢を重ねると、歯の不具合やかみ合わせに問題を生じることも多く、しっかり噛むことが難しくなってきます。
噛むことで唾液の分泌が促されますが、十分に噛むことができないと口周りの筋肉も衰えて、咀嚼力(そしゃくりょく)が低下することにより唾液が減少します。
また、更年期になると女性ホルモンの分泌が低下して唾液の分泌量が減少につながります。
そのため、年齢を重ねるにつれて唾液の減少は誰にでも起こります。
全身的な病気の影響
糖尿病は尿の量が増加するため、脱水症状を起こしやすく、それに伴って唾液も減少しやすくなります。
シェーグレン症候群は膠原病の1つで、主に唾液腺や涙腺などの分泌腺に炎症が生じるため涙や唾液が出にくくなり、お口が乾燥します。
また、病気の治療のための薬も唾液を減少させる原因になるものがあり、「降圧剤」「抗うつ薬」「抗パーキンソン薬」「鎮痛薬」は副作用として唾液の減少があります。
ドライマウスの治療
こんな症状はありませんか?
ドライマウスになると口の中が乾いてさまざまな症状が出てきます。
唾液の量が減ると、細菌が増えて「むし歯」「歯周病」「口臭」の原因になることもあります。
このような症状が出たら早めに歯医者を受診しましょう。
●ドライマウスの可能性をチェック
下記項目で当てはまる症状が見つかった場合は、ドライマウスの可能性があります。
簡単に出来るので、ご自身でチェックしてみましょう。
・口の中がネバネバして話がしにくい
・口内炎が頻繁にできる
・喉がよく乾く
・夜中に口が乾燥して目が覚める
・口の中が傷つきやすい
・食べ物が飲み込みにくく、水分の少ないものが飲みにくい
・笑った後唇がくっついて離れにくい
・口臭を指摘された
・口の中がヒリヒリ、ピリピリする
自宅でできることからはじめましょう
●口呼吸を改善する
いつも無意識におこなっている呼吸ですが、いつもお口が開いていませんか?
通常は鼻で呼吸することが正しいですが、就寝時やテレビを見ているときに口が開いていると思った方は口呼吸の可能性があります。
鼻呼吸をおこなっていると口を開ける必要がなくお口の中が乾燥することが少ないですが、口呼吸になると唾液が減少してドライマウスの原因になります。
日中の時間は意識して、口呼吸から鼻呼吸に移行していきましょう。
就寝中は自分で意識することが難しいため、睡眠テープなどを使用してお口を閉じることができます。
日常生活において、鼻呼吸をするように心がけましょう。
●喫煙・過度な飲酒やカフェイン摂取
喫煙は唾液の減少だけでなく、免疫力が低下したり口臭の原因になったりとさまざまな悪影響を及ぼします。
できれば禁煙をおすすめしますが、無理な場合は少しづつ節煙の心掛け改善につなげる意識が必要になり、たばこの変わりにガムを噛むことは唾液の分泌につながるためおすすめです。
カフェインや飲酒はほかの飲み物に少し置き換えて、飲みすぎに注意して量を調整しましょう。
また、においや味を感じることで唾液が分泌されてお口の中が潤いやすくなります。
ご自身がおいしいと感じる香りや味が刺激になって唾液の分泌を促すため、好きな食べ物で香りの強い料理もおすすめです。
●ストレスをため過ぎない
一時的なストレスや緊張による唾液の減少は、「お風呂に入る」「スポーツに打ち込む」「人と話す」ことなどでストレスを発散させることによって解消することが期待できます。
しかし、ストレスの原因が長期間にわたって改善することが難しいと、口内が乾燥した状態が続くことになります。
長期に渡る口の乾燥や不快感が続くとそのことがストレスになり、さらに唾液の減少をまねく悪循環になってしまいます。
このことを改善するためには、ストレスをコントロールすることが大切です。
ご自身で改善が難しい場合には専門のクリニックでカウンセリングを受けて、歯医者ではドライマウスの治療もおこなっていきます。
●よく噛んで食べる
ドライマウスの方は口の潤いが少ないため食べ物が飲み込みにくいことから、あまり噛まずに食べられる物を選ぶ傾向にあります。
やわらかいものばかり食べていると、しっかり噛むことが少なくなり、さらに唾液が減ってしまうので悪循環になります。
そのため、唾液をしっかり出すためには、噛み応えのある根菜類やお肉類などがおすすめです。
唾液を出すためには、よく噛んで食べることが大切です。
そのため、食事の時間はゆったりと話しをしながら食べることが理想的です。
食事の際には適度な水分も摂取して、お口が潤うようにしましょう。
●唾液腺マッサージをする
唾液腺マッサージは道具も必要なく、時間がある時に取り入れやすい方法です。
お口の潤いを与えるために、軽い力で唾液腺マッサージをおこないましょう。
・顎下腺マッサージ
親指を下あごのやわらかい部分に当てて、耳の下まで順番に5回くらい押しましょう。
・耳下腺マッサージ
親指以外の人差し指から小指までの4本を頬に当てて、円を描くように回しましょう。
・舌下線マッサージ
親指を揃えて、下あごの真ん中あたりをゆっくりグーっと押しましょう。
・舌の運動
舌を動かすことも唾液腺を刺激することになり、唾液の分泌を促進します。
①舌を前後に動かしましょう
②舌を前に出して左右に動かしましょう
③舌を前に出して大きく円を描くように回しましょう
●ドライマウス対策グッズを取り入れる
要介護などの方で、ガムを噛むことが難しい場合にはドライマウス対策グッズを取り入れましょう。
ドライマウスは乾燥を改善したいので乾燥肌に保湿が必要なように、ドライマウスを潤すための保湿ジェルや保湿リンスなどを使用します。
これらを使用してお口が潤って粘膜を保護し、お口の機能を助けます。
アルコールが入っていると水分を奪うので、アルコール無配合のものを選びましょう。
・保湿リンスでお口に潤いを
乾燥したお口をすすぎ、清潔にしてお口が潤います。
お口の乾燥が気になるときや歯みがき後におこないましょう。
・保湿ジェルで保湿・保護
ジェルを舌に行き渡らせることで、お口の潤いを保ちます。
携帯用を使用すると、外出先でも手軽に取り入れられます。
入れ歯の場合には、入れ歯の裏側につけて保湿すると粘膜がこすれることを防ぐことができます。
注意事項
日常生活を改善しても口内が乾燥して症状がなかなか改善されない場合には、歯医者に相談してみましょう。
ドライマウスの診察や診断をおこなって、治療をすることで改善することも多いです。
歯医者でおこなう治療法としては、「唾液腺マッサージ」「口や舌の筋肉の改善」などを取り入れていき、生活習慣を具体的にどのように改善した方がよいかなどの相談をします。
さまざまなケースによって対処方法が異なり、一歩踏み込んだ治療として病院との連携が必要になる場合もあります。
●口呼吸の場合
矯正をしてかみ合わせを変えると口呼吸が改善することが多いです。
●全身疾患がある場合
毎日服用している薬があると副作用で唾液が減少しやすいものもあります。
●ドライマウスの症状が強い場合
主治医と相談の上、減薬をしたり薬を変更した方がよい場合もあります。
●シェーグレン症候群の場合
唾液の出やすくなる薬を投薬されることもあるため、患者さまの疾患によってドライマウスの対応方法が異なってきます。
口の渇き(ドライマウス)の
対処・予防法
ガムを噛む
ドライマウスの対策でガムを噛むと筋肉が動くので、唾液の分泌が促されます。
ガムを1日数回噛むと、ドライマウスが改善することもあります。
糖分入りのガムはむし歯リスクを高める恐れがあるため、キシリトール100%のガムをおすすめします。
キシリトールは代用甘味料でむし歯予防の効果が期待できます。
その中でもキシリトールの割合が多い方が効果が高いため、キシリトール100%のものを選ぶと良いでしょう。
キシリトール100%のガムは歯医者で購入することが可能です。
ガムを日常生活に取り入れて、ドライマウスやむし歯予防をおこないましょう。
口のうるおいを保ちましょう
口の渇きを感じたら、こまめに水分を補給しましょう。
乾燥しやすい冬や季節の変わり目などは、部屋の中の湿度も保つことが大切です。
加湿器のほかにも、保湿ができるジェルやスプレーもありますので、お口の状況によって取り入れていきましょう。
歯磨き粉は泡が出ない発砲剤無配合のものを選びましょう。
泡が出ていると磨けたような気持ちになるのですが、ドライマウスの方には刺激が強すぎるため泡が出ないタイプのものを選びましょう。
うま味成分も取り入れましょう
唾液を出すためには、しっかり噛むことが大切です。
普段から意識して噛むようにして、噛み応えのある食材も積極的に取り入れましょう。
唾液が出やすく効果時間も長いといわれている、うま味を摂取することがおすすめです。
うま味は「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」があります。
●グルタミン酸
チーズ・白菜・いわし・昆布
●イノシン酸
カツオ節・煮干し
●グアニル酸
干ししいたけ
また、すっぱいものも唾液が出やすくなることが知られていますが、たくさん摂取するとお口が酸性にかたむきます。
そうするとむし歯になりやすいため、おすすめできません。
うま味を摂取するようにして、しっかり噛むことを意識しながら食事をとるように心がけましょう。
よくある質問
ドライマウスって何ですか?