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歯石・歯垢(プラーク)

歯石ついていませんか?

歯磨きをする女性

歯に歯石がついている方は実感しているかもしれませんが、歯石は歯ブラシで落とすことが難しく、歯石を放置していると表面がざらざらするためその上にさらに歯垢が着きやすくなります。

その結果、細菌の温床になりやすいです。

また、歯石には数億個の細菌が潜んでいて、歯周病を引き起こす要因としても知られています。

歯石は自分で落とすことが難しいため、つかないように予防することが大切です。

目次

こんなお悩みありませんか?

  • 歯ブラシで歯石が取れない
  • 歯石がついていて出血しやすい
  • 歯石がついていて口臭が気になる
  • 歯石がザラザラして汚れがつきやすい
  • 歯石がついていて歯ぐきが腫れている
  • 黒い歯石がついていて見た目がよくない

歯石・歯垢について

歯石・歯垢とは

歯石がついた歯ときれいな歯

●歯石

歯石とは歯垢が唾液中のカルシウムやリンと結びついて硬くなったもので、歯と歯ぐきの境目につくことが多いです。
唾液と結びついて歯石を形成するため、唾液線がある所に歯石ができやすい傾向にあります。

そのため、毎日のセルフケアはこの部分を特に重点的に磨くことが大切です。
歯石の段階になると歯磨きでも落とすことができず、歯医者で除去する必要があります。
そのため、予防をするためには歯石ができてから取り除くのではなく、歯石になる前のヌルヌルしたバイオフィルムの段階で清掃することが大切です。

●歯垢

歯の表面を触ったときにネバネバするものが着くことがありますが、これが歯垢でプラークとも呼ばれます。
歯垢は細菌のかたまりで1gあたり1000億個もの細菌が集まっています。

通常は唾液の働きで細菌は洗い流されますが、歯垢はベタベタとして唾液では洗い流しにくく、その部分で細菌が増殖してしまいます。
歯垢の段階では歯磨きをすると落とすことができますが、うがいでは簡単に落とすことは難しいです。

歯石・歯垢がつきやすい場所

歯石のついた歯ときれいな歯

●歯石のつきやすいところ

唾液線の出口につきやすい特徴があるため、「下の前歯の裏側」「上の奥歯の表側」は唾液線が近く、歯石が付きやすくなります。

歯石は基本的に歯の裏側につきやすく、歯の表側についている場合にはクリーニングをしていない期間が長いと考えられます。

また、歯石は長い期間歯に付着していると硬い黒い歯石になり、取り除くことが困難になります。

●歯垢のつきやすいところ

次のような箇所は歯垢がつきやすいとされています。

・歯と歯の間
・奥歯のかみ合わせ
・歯と歯ぐきの境目
・下の前歯の裏側
・凸凹の歯並び

歯垢がつきやすい部分は虫歯ができやすい部分なので、歯ブラシを細かく当ててデンタルフロスを通して汚れを丁寧に落とすことが大切です。

歯と歯ぐきの境目は歯ブラシを45度に当てて細かく動かしましょう。
凸凹の歯並びは歯ブラシが当たりにくく、1歯ずつ縦に動かして汚れを落としましょう。

歯石・歯垢を放置するリスク

「お口についている汚れだから気にしない」といって汚れを放置しているとさまざまな口内トラブルを引き起こす可能性があります。
お口の中に残った汚れは歯垢になって、歯と歯の間や歯の表面に付着します。
そのまま磨き残しになったままになると、唾液と結合して硬い歯石になります。
歯石になると自分で取り除くことができず、歯ぐきの腫れや出血の原因になるため、早めに対処しましょう。

むし歯

虫歯のイメージ

食後のお口の中は、歯垢の中に潜んでいる虫歯菌が酸を生成して歯を溶かします。
この現象を脱灰(だっかい)といいます。
歯磨きをしてすぐに歯垢を除去すれば、脱灰が起きても唾液の働きによう再石灰化が起きることで酸が中和されて溶けた部分は元通り修復されます。

歯はこのバランスを保っていると虫歯にならないのですが、歯垢が長く着いた状態では、歯の修復が追い付かずに脱灰が進行していきます。
そうすると、脱灰によって虫歯で穴が開いてしまい、この段階になると自然に戻ることはなく虫歯の治療が必要です。

歯垢は歯ブラシで丁寧に磨くと落とすことができますが、歯石に変わると自分では落とすことができません。
毎食後に歯磨きをして、汚れを落とすことをおすすめしています。

歯周病

歯周病の痛みで頬を押さえる女性

歯垢は歯の表面だけではなく、自分では確認することが難しい歯ぐきの境目にもたまっていきます。

歯垢が着いたままになると、細菌が毒素を出して歯ぐきに炎症を引き起こします。
炎症が悪化して、そのまま放置していると歯ぐきの深い部分まで細菌が悪影響を及ぼし、あごの骨も溶かしてしまいます。
歯を支えている骨が少なくなると歯を十分に支えることができず、歯がグラグラしてしまうこともあります。
歯ぐきの炎症が起きている段階で治療をすると元通りになりますが、あごの骨を溶かしてしまうと外科手術をして再生療法をしないと元通りにはなりません。

歯周病は歯を失うこともある怖い病気ですが自覚症状が少ないため、初期の段階で気づくことが難しく、いつの間にか進行してあごの骨が減っていることもあります。

そのため、定期的に歯医者で検診をして悪化する前に対処することが大切です。

口臭

口臭により鼻を押さえる女性

歯石が着いていると歯の表面がザラザラしてくるため、さらに汚れがつきやすくなります。
歯に歯石が着くと周りの歯ぐきが腫れ、歯ぐきから出る血液滲出液によって口臭が出やすくなります。
また、歯と歯ぐきの境目の歯周ポケットに歯石がたまると、歯ぐきが腫れて膿が出てくることもあり口臭の原因になります。

歯垢の場合には、歯周ポケット内の細菌が口内の不良なたんぱく質を分解して、硫化ガスを発生させます。
歯石や歯垢が原因で虫歯や歯周病になるのですが、これらも口臭を助長させる大きな原因になります。

歯垢は放っておくといつのまにか歯石に変わり、歯ブラシでは除去できず自分では取り除くことができません。
歯垢が残らないようにブラッシング指導もおこなっていますので、定期検診でお気軽にご相談ください。

歯石・歯垢の原因

歯石は突然できるわけではなく、できるまでに過程があります。
歯磨きが充分でないと歯にヌルヌルした感触がありますが、これが歯垢いう細菌のかたまりです。
歯垢は磨き残しが原因ですが、時間が経過すると歯石に形を変えていきます。
歯垢の段階では自分で対処できても歯石になると自分では除去することが難しくなってしまいます。
そんな歯垢と歯石の原因についてご紹介します。

磨き残しがある

染め出しにより歯の磨き残しを可視化した状態

毎日歯磨きをしていても、「磨きにくいところ」「歯並びの悪いところ」「詰め物のまわり」などは磨き残しが出やすい部分です。
このような部分に磨き残しが残り、歯垢がついてしまうのです。

改善策として、磨き残しを減らすために実際に汚れがみて分かりやすくする染めだしがあります。
歯垢の部分が赤や青に染まるため、磨き残しを確認するために有効な方法です。

また、歯ブラシだけでは歯と歯の汚れは落とし切れないため、デンタルフロス歯間ブラシも取り入れて毎日のケアで細かい汚れを落としましょう。
デンタルグッズの使用方法は定期検診でお伝えできますので、分からないことがありましたらお気軽にご相談ください。

専門的なクリーニングを受けていない

歯科でのクリーニング機器

毎日歯磨きをするのは、歯垢を除去するためでもあります。
この歯垢は、取り残されてお口の中にあると唾液の成分によって石灰化してしまいます。
石灰化することで石のようになり、歯石に変わります。

歯石になると歯ブラシでは取り除くことができず、歯医者でしか除去することができません。
そのため、歯石になる前の歯垢の段階で汚れを落とすことが大切です。

お口の環境にもよりますが、歯垢は24時間程度で作られます。
そしてさらに歯石になるまでに、48時間程度かかるといわれています。
そのため、歯垢が作られる前にしっかりと汚れを取り除くことが大切なのです。

 

口が乾きやすい方

鏡で口元を確認する女性

口が乾きやすい方は唾液の分泌量が少ない傾向になります。
唾液には細菌を洗い流す自浄作用があるため唾液が少ないと歯垢がたまりやすく、歯石もできやすいと考えられています。
乾燥しやすい原因として考えられることが「日頃から水分摂取量が少ない」「過度のストレス」があります。

お口が乾きやすいと感じている方は、こまめに水分を摂取しましょう。
また、ガムを噛むと唾液を分泌しやすくなります。
さらに、キシリトール100%のガムだと、虫歯予防の効果も見込めるためおすすめです。

そのほかには唾液腺のマッサージも効果が期待できます。

●唾液腺マッサージの方法

・頬と耳の間の所を手で後ろから前にゆっくりまわします。
・両手の親指をそろえ、あごの下からぐっと押します。
・下あごの内側のやわらかい部分に親指を当てて、骨に沿って5か所くらい順番に2秒くらい押します。

柏などがや歯科クリニックの
治療内容

超音波スケーラー

歯石除去のイメージ

超音波スケーラーとは、歯科衛生士が歯についた歯石を超音波振動で粉砕して、水で洗浄しながらきれいにしていく機械です。

以前は、歯ぐきの上に付いている歯石を除去する時だけに使用していましたが、先につけるチップを交換することで歯周ポケットに中の汚れも除去できるようになりました。
その際には、歯ぐきの深い部分を触るため、痛みが出ないように麻酔をすることがあります。

歯ぐきの深い部分では、キュレットという手用の器具を使用することも多いですが、ピンポイントの歯石の除去が難しいです。
歯の根は複雑な形態をしていて凹みもあるため、ぴったり合うチップを使用した超音波スケーラーが有効です。

キュレット

歯のクリーニングのイメージ

定期的にクリーニングをしている方は比較的歯石が取りやすいのですが、何年も歯石を除去していなかった方は歯石が石のように硬くなっています。

歯石は2種類に分けられ、歯ぐきの上にある歯肉縁上歯石歯ぐきの歯周ポケットの深い部分についている歯肉縁下歯石があります。

歯肉縁下歯石は歯科衛生士がキュレットスケーラーという器具を使用して手で除去していきます。
1本のキュレットスケーラーで刃が2か所ついています。

また、歯の部位で使用するキュレットスケーラーが異なるため、すべての歯の形態に合わせるためには7種類のキュレットスケーラーがあります。

歯ぐきの深いところを取るため、局所麻酔をして除去する場合もあります。

エアフローをおこなう場合も

エアフロー

エアフローも歯を清掃する機械で非常に細かいパウダー粒子をジェット噴射で歯に噴きつけることで、歯にしっかり着いた着色汚れを効果的に除去することができるものです。

多くの歯医者では、歯の着色たばこのヤニなどの除去に使われますが、歯周ポケットの中の細菌の除菌にも効果が見込めます。

ただし、エアフローは着色を落とすことは出来ますが、歯本来の色を白くすることはできません。
歯の色を白くしたい場合には、ホワイトニングをおすすめします。

予防のためセルフケア

丁寧なホームケア

歯茎のクリーニングをする様子

歯ブラシだけで落とせる歯垢は60%で、上手な方でも40%の磨き残しが残ってしまいます。
磨き残しが出やすいところは「歯と歯の間」「歯間部」ですが、この部分は歯ブラシが届きにくいため、デンタルフロス歯間ブラシを使用して汚れを落としましょう。

デンタルフロスには柄がついているタイプロールタイプがあります。
最初は柄がついているタイプが使いやすいと思いますが、コスト面ではロールタイプの方がよいため、慣れてくるとロールタイプも取り入れていただくとよいでしょう。
歯の面に沿わせて上下に動かして汚れを除去します。

また歯間部分には歯間ブラシが効果的ですが、合わないサイズのものを使用すると歯ぐきを傷めてしまうこともあるため、ぴったり合ったサイズをご案内します。

どちらも使い方が分かりにくい方は、定期検診でお話できるのでご相談ください。

よく噛む

食事をする女性

しっかりよく噛むと3つの効果があり、唾液の分泌が活発になります。

●細菌の増加を防ぐ

唾液にはお口の中をきれいにする自浄作用があり、汚れがたまって細菌が増えるのを防いでくれます。
また、唾液にはペルオキシダーゼという酵素が含まれていて、虫歯や歯周病の予防に効果的です。

●脳の働きを活発にする

よく噛むことで脳が刺激されて血行が促進されるため、栄養や酸素が十分に供給されて脳の機能が活発になることが見込めます。
また、日常的によく噛む人は脳が活発になり、集中力バランス感覚が優れる可能性が高くなります。

●胃腸の働きを助ける

食べものをよく噛み、唾液の中の消化酵素と混ざり合うことで消化を助ける効果を発揮し、胃腸の負担を軽くします。

 

このようによく噛むことは健康につながり、しっかり噛むためには健康な歯が大切です。
虫歯や歯周病を予防して健康な歯を維持しましょう。

よくある質問

歯石を取った後出血したのですが…。

歯ぐきが炎症している部分の歯石を除去した場合少しの刺激で出血することがあります。
腫れる原因は歯石なため取り除くことが大切で、歯石が取り除けると徐々に炎症がおさまるためご安心ください。

歯石を除去したあと歯ぐきが下がった。

炎症を起こしていた歯ぐきが引き締まって正常な位置に戻ったからです。
歯周病が進行するとあごの骨が溶けてしまい、一度減った骨は元通り自然には元通りになりません。
そのため、歯ぐきが下がってやせて見えてしまうのです。

歯石を取った時に歯が削れることがありますか?

機械で取る方法は超音波の振動で落とすため歯が削れることはありません。
また、手で取る方法も歯石をガリガリすることはありますが、歯を削ることはありませんのでご安心ください。

歯石は定期的に取らないといけないのですか?

歯と歯の間や歯ぐきの深い部分(歯周ポケット)は自分で取ることは難しい部分です。
磨き残しがある場合も多く、定期的にクリーニングして汚れをきれいにすることをおすすめします。

以前歯石を取った時に痛みがあったのですが…。

歯石が歯ぐきの深い部分についていると痛みが出ることがあります。
痛みを最小限にするために、深い部分の歯石を取る前に局所麻酔をおこなってから除去します。

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著者 Writer

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松田 覚
資格:歯科医師

【患者さまへひとこと】
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